腱鞘炎が辛い。
教員の職業病というやつで、授業レジュメに書き込むメモやら何やらで書き物をする機会が多いことによっている。
長時間続けて作業すると利き手は悲鳴を上げる、でも中途半端なところでやめるわけにも……というジレンマが往々にしてあって、結果、悪化の一途を辿っていた。
これまで数限りない筆記具を試してきた。
シャープペン。油性ボールペン。フリクションボール……いずれも短時間なら「いける!」となるのに、しばらく使い続けると手首や指や、どこかしらが痛み始める。ここしばらくは木製グリップのフリクションに落ち着いていたけれど、それも騙し騙しという感じだった。
そんなわけで、このペンにもこれといって期待はしていなかった。
どちらかといえば、贔屓チームへのスポンサードに感謝してのお布施という意味合いが強かったぐらいだ。
PILOT・ドクターグリップエース。
筆圧をかけると芯が沈み込んで折れることを回避する「アクティブサスペンション」が搭載された、ドクターグリップシリーズの最新作だ。
アクティブサスペンション自体はモーグルエアーという別のシャープですでに導入されていたものの、こちらはグリップ性が今ひとつだったりしてあまり好みではなかった。
一方、このドクターグリップエース。
硬めながら手によく馴染むグリップ、手が落ち着く太さ、適度な低重心と、書きやすい筆記具の特徴をいくつも兼ね備えている。
そして何より、書くときの安定性。
構造上、どうしても芯はブレる。けれどもそれは不快なブレではないというか、少なくとも狙ったとおりに書けないというストレスに直結するものではなく、過分な筆圧だけを受け流しつつ、自分のリズムでペン先を動かせる安心感を与えてくれている。
昨日の夜から仕事に使ってみて、そのポテンシャルの高さに少なからず驚いている。何より、今まで書き物を長くした後には必ず右手を襲っていたあの嫌な疲労感や痛みが、(13kg近い娘を抱っこし続けた疲れを除けば)ほとんど感じられない。
これはすごい。すごいものに巡り会ってしまった。
文具好きは俗に、収集癖に終止符を打った文具のことを指して「上がり」と称したりする。
まだ確言はできないけれど、ドクターグリップエースは僕にとって「上がり」のシャープペンになるかもしれない。
……で、そこで問題になるのが、PILOTの商品入れ替わりサイクルの早さ。
せっかくここまで自分にマッチするペンに出会えたのに、不人気→廃盤となってしまってはあまりに悲しい。
そんなわけで、とりあえず3本ほど予備を買い足した。
さらに使い続けて確信が持てたら、もう数本追加しよう。
ドクターグリップエース、まじおすすめです。こんな長文ここまで読んだなら買っておしまいよ!